村 上 実INTERVIEW


造船会社の「営業職」について教えて下さい。

 私は、高校を卒業後すぐ造船会社に入ったので、40年以上造船業界で働いています。入社時は船の知識も浅かったので、船を作るための材料を仕入れる購買部門の資材部に配属され、そこで7年ほど勉強させていただきました。船一隻分の買い物をしていて、若い頃は年間で20億円ほど使っていました。そうして積極的に部品の勉強をしたことで、船に関する様々な知識を広く持つことが出来ました。

 そうして購買部で勉強した後、20代の終わり頃に営業部に移りました。営業の仕事では福井県の以南(敦賀市)の日本海側を全県回るなど、その当時は一年の3分の2程度は出張しており、アクティブに営業の仕事を行っていました。船を扱う営業なので、営業職としてはかなり巨額の取引をすることになりますが、決断力がないと営業が間に合わず他の造船所に負けてしまうため、経験を積んで決断力を身につける必要があります。

昨今では陸路・空路が発達してきていますが、今後船の需要はどうなるでしょうか。

 日本国は島国で海に囲まれているため、船が無くなることはないと思っています。ましては、安くて大量輸送できるという点で船は優れています。ただ、移動に掛かる時間は飛行機や新幹線に比べて劣ってしまいます。しかし、先ほども言った様に大量輸送出来る船の需要がゼロになることはないと考えています。そして、造船業においても船の作り替えは約20年周期と言われており、今現在海を走っている船も約20年で作り替えられてまた新しくなり、次々と20年経った船を作り替えるということを繰り返しているうちに20年経ち、また必ず船の作り替えが回ってくるような状況が今後も続くのです。

昔よりも造船会社の数が減少したのは何故ですか?

 北九州では昭和60年頃、かつて30社あった造船会社が次第に8社へと減ったのは、漁船の数が減ったことが原因です。昔は漁船がたくさん存在し、そのぶん漁船を修理する造船所もたくさんありました。その当時は魚が大量に取れていてお金があったので、漁船側も修理に出すお金がたくさんありましたが、200海里経済水域の設定などにより漁獲量が減って漁船が十分に稼げず、修理に出すお金が無くなっていきました。

 その結果漁業従事者がどんどん辞めていったことで、造船会社としても船を修理する仕事が激減したことが大きな原因の一つです。造船会社の新規参入はほぼできないと考えられるため会社としては安泰ではあるものの、若者の人口自体が減っているため労働力が追いついておらず、また船仕事に就職してもすぐに辞めてしまう若者が多いため、現在は労働力の確保が大きな問題だと思います。

 昨今は大学進学率が増えた影響で、高卒者の就職者数が減少したこともあり、造船業だけではなく、他社もこれからは労働力の確保が企業の未来に繋がっていくと思います。

新卒の学生が営業職に就いた場合、どんな経験をすると成長が早いと思いますか?

 実際に船を作ってみることが一番早いと思います。船を作る過程を経験することで船がどのように出来ているかを理解することができ、修理の際もどこをどのように修理するかが分かるので、営業の際に説得力のある説明をすることが出来ると思います。

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